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The JOJOLands (ジョジョランズ) 13話 「"その年わたしに起こった不条理な出来事"」 感想

 

今月も来たぜ。一ヶ月に一度の楽しみが…

 

今回は話はそこまで動きませんでしたが、バックグラウンドの大きな掘り下げがあり、作品全体のテーマとなりそうなワードも出てきましたね。

では、ジョジョランズ13話「"その年わたしに起こった不条理な出来事"」の感想です。

 

今回の話のポイント

ジョディオとドラゴナの過去回想

まずは今回の話のメインと言えるジョディオとドラゴナの過去回想。

ドラゴナ14歳、ジョディオ11歳とあるので4年前ですね。

 

鈍臭いことや振る舞いが女性っぽいことからいじめを受けていたドラゴナ。それを目撃したジョディオがいじめっ子をノーヴェンバー・レインで攻撃します。その場はそれだけで済みましたが、気丈に振る舞いつつもうなされるドラゴナを見て何かを決心するジョディオ。

 

そしてここからが今回の話で一番衝撃的だったシーン。

 

ジョディオはいじめっ子が乗ったスクールバスに火を放ち、他のクラスメイトや教師、運転手諸共燃やそうとします。いじめの主犯や取り巻きだけでなく傍観してた人も同罪ということのようです。

 

その後ノーヴェンバーレインの雨で火を消したので死者は出なかったものの、約20人が火傷で入院する事態となりました。最初一応焼き殺しはしない理性はあるのね、と思いましたが火を消したのはインコを助けるためだけのようです。

 

この、「人を殺すのは特に抵抗なく出来るけどインコは助ける」という感性のズレた感じ。ジョディオのサイコパス部分が全面に押し出されていて賛否あるかもしれないけど、個人的には好き。これくらい狂っててこそ2話で暗に示された「生まれついての悪は幸せになれるのか」という議題が活きてくる。

 

そしてこの後のシーンでジョディオの父親の外見が少しだけ見れました。保険会社に勤めていて、(妻と子を置いて出ていったことを除けば)ディオやダリオのような超クズって感じはありません。こうなるとジョディオのサイコパス要素のルーツは何なのでしょうか。

見た感じ母親は普通の感性なので、今回の話を読むまではサイコパス要素は父親の遺伝子だと思っていたのですが、父親も最低最悪というわけではないんですよね。遺伝子関係なく、突然変異?的な感じなのか。1、2話の警官を見る感じ警察が腐敗してるので環境の要因も強そうだけど。

 

さらに、ジョディオの成績がビリなことが判明。悪事に手を染めてるわけだし勉強が出来るとは思ってなかったけどそこまで悪いとは意外だな。でも、母親は「本当は頭良い子」と言ってるから、やる気が無いだけっぽい。

勉強してのし上がることに限界を感じている(そのルートではメカニズムの頂点には立てない)と考えているのかな。

 

そして、スクールバスに火を放ったことについて、ドラゴナだけがジョディオの仕業だと気付いていました。「あんた病気だよ 病院に行くべき」と咎めはするものの、いじめっ子たちが痛い目を見たことによって「よく眠れるようになった」ことも認め、ジョディオに感謝の弁を述べます。そしてスタンドに完全に目覚め、ドラゴナは「強くなる」ことを宣言。

 

しかし、いじめという問題を乗り越えたかと思いきや、事態は思わぬ展開に転びます。

結論だけ言うと、バスに放火したことが原因で結果的に父親が保険会社をクビになり、家を出て行ってしまったのです。これにより専業主婦だった母親のバーバラアンは職に就くことを求められ、一家はどんどん衰弱していきます。

ちなみに1話によるとバーバラアンは空港免税店勤務。

 

ところで、ウサギも父親がバスに轢かれて保険金で生活していますが、何か関係ありそうな気がします。

 

それとドラゴナ、最初はポロシャツを着てましたがバス放火事件から数か月後にはファッションセンスも変わって頭に花もつけるようになってますね。それまでは自分を抑えつけて好きなファッションも出来なかったんだな...

キーワード:不条理

そして、ここで9部全体のテーマとなりそうなワード「不条理」が出てきました。ドラゴナによると「善や悪関係なく、今まで生きてきた事とはなんの繋がりもなく意味もなく起こる重要な出来事」らしいです。

不条理は厄災とニュアンスが似てますね。

結果的にはジョディオの行動が原因で父親が出ていったわけですが、この因果は8部で豆銑さんが過去に自身の発言が結果的に両親を死なせてしまったのを思い出します。

ボスとの出会い

ボスのメリル・メイ・チー校長との出会いも描かれました。

 

ジョースター兄弟がスタンド使いであることを見抜いたのか、それとも単に弱ってるのを見計らって利用しようとしただけなのかは分かりませんが、彼女は彼らをスカウトします。

 

この限界ギリギリのタイミングで現れて救ってくれる感じはブチャラティを思い出します。でもブチャラティと彼女の決定的違いはあくまで自分の得のために拾い上げてやってるだけで、良心からの行動ではないところ。むしろ行動原理的にはブチャラティの殺しをもみ消す代わりに入団させたパッショーネに近い。

そしてそこが彼女の魅力に直結してると思います。犯罪集団のボスとしては、感情で動く人よりむしろ信頼がおけるというか。

 

ちなみに、ここで1話を振り返ってみるとジョディオの独白で「オレの年齢が11さいになった時 どこからともなく近所の誰かに誘われて「パシり」をやらされた」とありますが、これは書き方的にメリルメイとは別人に思えます。でも豆銑さんの父親が死んだ理由が後で変わったという事例もあるからこれがメリルメイということになったという可能性もあるかも。

チャーミングマン関連

チャーミングマンの発言で、前回私が疑問点としてあげた露伴がダイヤモンドを持ち込んだ目的が明らかになりました。ダイヤや金などの鉱物を加工して溶岩の特性を付与できないか試していたということらしいです。

 

チャーミングマンは前回思わせぶりな発言をしていたものの、やはり溶岩についてはほとんど知らないということでいいみたいです。弟の行方不明から「溶岩に関わると良くないことが起きる」と直感的に察しているだけで、まだ核心に迫るような情報は持ってない。

ただ、ひとつだけ気になる新情報を喋っていて、それは「溶岩について調べようとすると何故か不条理な出来事が起きて妨害される」こと。

溶岩は良いことばかりではなく、次の章では溶岩の影の一面が明らかになっていくのでしょう。だんだん情報が開示されていく感じ、ワクワクします。

 

チャーミングマンの目的は溶岩を辿って弟を見つけること。今ある溶岩は破片だから、フアラライ山の上の方にはもっと大きいのがあると予想し、それを見つけたいようです。聖人の左腕を見たジョニィが「きっと集めると全身ある」と予想した感じですね。

 

「行方不明の弟を見つけたい」という共感しやすい目標と、「フアラライ山の上で大きな溶岩を見つける」という長期目標が同時に設定されて、一気に目的が固まってきました。チャーミングマン、めちゃくちゃ重要なポジションだなあ。

次の獲物は…

「大きな溶岩を探し弟を見つける」という長期目標が出たなら、次は短期目標。次なる目標をメリル・メイが提示しました。

溶岩を近づけて、フアラライ山の所有者『HOWLER(ハウラー)』から預金口座、山の土地、会社全てを奪い取る」…この容赦のなさゾクっとします。

ここまで見ていた感じ、ディオっぽさで言えばジョディオよりメリルのが上ですね。1部のディオの「利用できるものはなんでも利用してやる!ジョースターとかいう貴族を利用してだれにも負けない男になるッ!」宣言と似たものを見た気がする。

ジョディオの悪部分は淡々と人を殺せるところというか…むしろ漆黒の意思のジョニィっぽい。感情がないというわけではなくて、「感情を荒立ててもどうしようもないやつはいる。そいつらは殺すしかない」という諦念めいたものを感じる。

 

そして、今回の報酬は500億ドルの20%で100億ドル(5人なので1人20億ドル)。ダイヤの時は600万ドルの2%で12万ドル(1人4万ドル)だったので一気に金額が大きくなってワクワクしてきました。

下っ端にしかも溶岩を近づけるだけの仕事に20%ってあげすぎな気がしますがメリルメイは金払いが良いですね。ダイヤ強盗が2%で今回が20%ってことは少なくとも強盗の10倍はリスキーということなのでしょうが。やはりハウラーは何かある。

というか、5人で分割ってことはもうチャーミングマンは協力することになってるようですね。弟を見つけるためにはもう手段を選ばないって感じか。まあ世間全体が非協力的という不条理があるならそれが自然だ。

 

今回の話でさらにメリル好きになりました。

溶岩の特性を聞いてからものの数分でこんな大胆な作戦思いつくのがかっこいいし頼もしい。ジョディオは戦闘ではちゃんと決めるし主人公してるけど、行動はまだボスに従ってるだけだから行動力あるメリルのが魅力的に思えるな。ジョディオも、露伴との駆け引きで溶岩を容赦なく破壊するところとか好きなんですけどね。

行動原理が自分の得のためとはいえ、フアラライ山を手に入れることはチャーミングマンの弟を探すことに繋がるから割と人情もあるかも。(と思ったけど、最初に「ふーん」って見るからに興味なさげな反応してるから同情してるように見せてるだけか)今の所一番好きなキャラです。

 

ちなみにHOWLERの元ネタはKing Crimsonの楽曲「The Howler」。

www.youtube.com

疑問点

腕時計が一つだけしか戻ってこなかった理由

ドラゴナとウサギが時計屋で溶岩を試した時、四つあった時計から一つしか帰ってこなかったのが気になります。しかもその一つはまだ溶岩には近づけていないもの。値段が一番高いものだけとか?

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まとめてみると…やっぱり分かってる中では一番値段が高い時計を吸い寄せてますね。しかし、時計と同時にダイヤが吸い寄せられてたシーンがあったので一度に一つまでしか吸い寄せられないってことはないでしょうし、他の時計が吸い寄せられなかった理由が分かりません。

あともう一つ疑問で、店員の発言「お隣のお品は4万5千ドル」の「お隣のお品」が何を指してるか分からないんですよね。普通に考えたら左端の時計の隣なので左から二番目のはずなんですが、それは8万ドルって言っちゃってるし。

解消された疑問

スタンド発現の理由

ドラゴナのナレーションで「目には見えないがいつでもどこにでも『スタンド』は存在する」というのがありました。

 

前回の感想でスタンド使いになった理由が現時点では不明だと書きましたが、この表現から見るに、矢や遺体で才能を引き出された者がスタンド使いになるというのでなく、スタンドは誰でも持っていて、それに気付いてるかどうかということに思えます。

2話のジョディオの「見えないヤツはいつまでも見ない」発言と合わせると、カニズムが見えている人=スタンドが見えている人という認識で良いのかも。

露伴がハワイ島にダイヤを持ち込んだ理由

チャーミングマンの予想という形ではありますが、「露伴はダイヤや金などの鉱物を加工して溶岩の特性を付与できないか試していた」という説明がなされていました。

改めて考えると、露伴がダイヤを持ち込んだ影響でジョディオたちに居空きに入られるというのも溶岩が引き寄せた「不条理」なのかな。

今後の展開

露伴やチャーミングマンといった敵は個人でしたが、今回初めて「ハウラー」という具体的な組織名が出てきました。この組織が9部のメインの敵となりそうな予感がします。溶岩のルーツの土地の権利を持ってるわけだから溶岩について何も知らないということはないでしょうし、「カニズムを操作する溶岩のルーツの権利を持ってる=メカニズムの頂点」と言えるわけですからね。

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【次回】

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