ジョジョにはたまに言葉遊びが登場しますが、その中には日本語でないと成立しないものもあります。
ということで今回は、そんな日本語ならではの言い回しが英語ではどう訳されているのか調べてみました。原文と、アニメ版の英語字幕を並べて比較します。
今回はNetflixで確認しました。もちろん媒体によって訳は変わってくるので、一例としてお楽しみください。
第2部
ハッピー うれピー よろピくねー
ジョセフがサンタナに放った挨拶。のりピー語というやつですね。
ハッピー うれピー よろピくねー
Happy! Fun! Nice to meet you,man!
「ピー」で韻を踏んでいるのにならって「Fun」と「Man」が掛けてあります。
露骨な肋骨
続いて、サンタナの技名。
リブス・ブレード(別名 露骨な肋骨)
Rib Blades Nickname:Ripping Ribs
「Ripping Ribs」は「引き裂く肋骨」という意味。
意味は変わりましたが、別名がダジャレになっているのがしっかり再現されてます。
憎き肉片
もうひとつ、サンタナの技名。
ミート・インベイド(別名 憎き肉片)
Meat Invade Nickname:Fiendish flesh
「flesh」は「肉」、「Fledish」は「極悪」「残忍」「狡猾」などの意味。
こちらも、意味は変われどダジャレが成立していて凄い。
第3部
肉の芽がなくなってにくめないヤツ
ポルナレフの肉の芽が取り除かれた後のジョセフのダジャレ。
これで 肉の芽がなくなって にくめないヤツになったわけじゃな
Now that the flesh bud is gone, we can be buddies.
「flesh bud(肉の芽)」と「buddies(仲間)」を上手くかけてます。
ハジキ→おハジキ
ポルナレフとホル・ホースのやり取り。
おれのスタンドは拳銃(ハジキ)だ 拳銃(ハジキ)に剣では勝てねえ
なに? おハジキだあ~~?
That I have a Stand that shoots. And a sword simply can't beat that.
So, what? A pea shooter?
「pea shooter」は「豆鉄砲」の意味。
彼→カレー
ジャッジメント戦前のジョセフとポルナレフのやり取り。
インドで「彼」はわたしにそう教えてくれた
なに? インドでカレー?
A man told me back in India.
What?! Mangos from India?
「man(男)」と「mango(マンゴー)」が掛けてあります。原文がインドの伝統料理カレーなのに対し、英訳もインドが原産で生産量1位のマンゴーを持ってきてるのが見事です。
パンツーまる見え
ポルナレフと花京院のハンドシグナルのシーン。
パンツーまる見え
He says, "Your underwear is showing."
英語版ではハンドシグナルの意味が通るように翻訳するのを諦めたようです。さすがに難しいよねこれは...
ウヒイイイイイイ→牛
承太郎に変身したオインゴが雄たけびを誤魔化したやつ。
ウヒイイイイイイ い い...いや ウヒ... ウ... ウ... ウヒだよ あ...あそこにウヒがいるといったんだ......
Wha-- Yow! No... Yow. You know, yow. I was saying there was a cyow over there...
「yow」→「cyow」→「cow(牛)」と変換する形になっています。
第4部
音石戦の億泰とジョセフのやり取り。
ス・タ・ン・ド・つ・か・いッ!
イかんぞ歯科医?
A Stand user!
A sand cruiser?
「sand cruiser(サンドクルーザー)」は車の一種です。
レッド・ホット・チリ・ペッパー→ポッポ ポッポ ハト ポッポ
これまた億泰とジョセフのやり取り。
『レッド・ホット・チリ・ペッパー』ーッ
『ポッポ ポッポ ハト ポッポ』?
Red Hot Chili Pepper!
Baa, baa, black sheep, have you any wool?
「Baa, baa, black sheep, have you any wool?(めえ、めえ、黒ひつじ、羊毛はありますか?)」はイギリスの童謡。
ja.wikipedia.org
原文は日本の童謡「鳩ぽっぽ」が元ネタなので、どちらも「鳴き声+動物名が歌詞の童謡」ということで、ピッタリな翻訳です。
タマタマ命中
仗助が虫喰いでない(ネズミ)をベアリングで仕留めた後のセリフ。
どんなもんスか タマタマ命中したんじゃないっスよ タマタマって別にダジャレじゃあないっスよ
I can hardly bear the thriil of hitting it! Did you like my little pun there?
「bear(耐える)」と「bearing(ベアリング)」を掛けています。
意味は「命中した時のスリルはタマらないっス 今のダジャレ気に入ったっスか?」みたいな感じ。
原文ではうっかりダジャレになってしまったのを「ダジャレじゃあないっスよ」と注釈を入れてたのに対し、英語では逆に自分からダジャレを披露しにいってるのが面白い。
ビジネス→ひじ
初対面の仗助と重ちーのやり取り。
そう! 3人で力を合わせる「ビジネス」だ
(重ちーが肘を指しながら)ここ?
それはヒジね...~
Yes, a business between the three of us.
This?
That's just part of it.
英語版では完全に意味が変わり、ダジャレではなくなっています。
重ちーが言う「This?(これ?)」は肘ではなく小銭を拾い集めることを指しており、「3人で力を合わせる『ビジネス』だ」「これ?(小銭を拾い集めること?)」「それはほんの一部だよ」という会話になっているのです。
このシーンで重ち―が両手に小銭の山を持ったまま肘を指しているのを利用して、ジェスチャーの捉え方から変えてしまう面白い翻訳です。
手を切る時期
吉良が、腐敗してきた手首とお別れして新しい女性の手首を調達する行為を「手を切る」とダブルミーニングで表現したもの。
この女とも そろそろ別れ時かな 手を切る時期か... ...「手を切る」
I think it's time to part ways with this woman. Is it time to separate from her? Time to break up.
原文と違い言葉遊びを強調してませんが、「別れる」の他に「切り離す」の意味がある「separate」や「別れる」の他に「解体する」の意味がある「break up」が入っており、何とか吉良の殺人衝動のニュアンスを入れようとしているのが伝わってきます。
火事→家事
消防隊員と露伴とチープ・トリックのやり取り。
火事はどこです 火事は?
知らないよ! 家政婦紹介所へ行け!
それ家事ね
アニメ版ではカットされてしまっているので残念ながら今回は調べられませんでした。いつか漫画版で確認したい...
第5部
3つのU
涙目のルカが提唱する友情関係に必要な3つの事柄。
「3つの『U』」「うそをつかない」「うらまない」「敬う」
「the three noes」「no lying」「no resentment」「no disrespect to your friend」
原文では「3つの『U』」と言って頭文字を「U」で揃えていたのに対し、英語では「3つのNO」として、単に禁止事項を3つ挙げるものとなっています。意味はほぼ一緒です。
鯔(ぼら)・鯖(さば)・河豚(ふぐ)な事→味な事
セッコのセリフ。
うぶな事を...... ...じゃなくて... やぼな事...... ...は違う... 鯔(ぼら)な事でもなくて 鯖(さば)な事 河豚(ふぐ)な...
味な事か?
Such an innocent... No... Such a boorish thing... No... Overpriced? That's not it. Crabby? Cleaver...
Such a clever thing?
意味は「うぶな事を...... ...じゃなくて... やぼな事...... ...は違う... 法外な事でもなくて 気難しい事 包丁...」「味な事か?」みたいな感じ。
原文では「味な事」の「アジ」を魚の方と混同してしまうというネタですが、英語では響きが似ている表現になっています。
セッコがブチャラティに言ったセリフ。
ところで「コロッセオ」ってさあ 「殺っせよ」ォォ って 聞こえない?
By the way, about the Colosseum,doesn't sound like ‘’Kill-esseum‘’?
「Colosseum(コロッセオ)」から「kill(殺す)」の音を抜き出して「Kill-esseum」としています。原文の「コロッセオ」が空耳で「殺す」に聞こえるというニュアンスを組んでいて良い翻訳。