もしもジョジョのスタンドがひとつだけ使えるとしたら ~「欲しいスタンド論争」に決着をつけるブログ~

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TVドラマ「岸辺露伴は動かない」 密漁海岸 の軽い感想


いやあ...今回も良かった。岸辺露伴のドラマ...

 

以前から待望されていた「密漁海岸」のエピソード、そして個人的にお気に入りエピソードである「イタリア料理を食べに行こう」を合わせて完璧に実写化してくれて、興奮冷めやらぬという感じです。

勢いそのままに感想を書いておりますため雑多かもしれませんがご了承を。

 

また、この記事はネタバレ目的ではなく、感想を共有するためのものであることにご留意ください。

 

 

とりあえず良かったところがめちゃくちゃあるので書き連ねていきます。

 

 

まず、毎回思うけど改変が上手すぎる!

 

原作のニュアンスはそのままに実写ドラマの形に落とし込んでいて、改変するにしてもひとつひとつが綺麗に噛み合って、その全てが効果的に働いている。

今回のエピソードなんか前半は仗助と億泰がやってたものなのに、性格の違う露伴先生と泉編集コンビでも自然に見れる出来に仕上がってます。

 

というわけで、以下に改変点とその素晴らしさを書きなぐっておきます!全てではないのでご了承ください。

改変点

体の不調が 露伴→肩こり、胃もたれ 泉→寝不足、虫歯 に

原作では億泰が一手に引き受けていた体の不調ですが、ドラマで二人が分担する形に。

ちゃんと露伴の方は不健康であることに納得できる理由が付けられていたのも良かったです。露伴先生は理由なく不健康になるような人にはさせない、という制作側の妥協しない精神を感じます。

 

億泰のセリフをほとんどそのまま言ってるのに全然違和感がなかった(高橋一生さんと飯豊まりえさんの演技力の高さの影響も大きい)し、むしろ「高森朝雄の原作に対するちばてつやの『あしたのジョー』」は漫画家の露伴が言うことでよりしっくりくる感じになってたのがなかなか面白かった。

料理を食べる理由付け

原作では億泰がバカなので明らかに異常な料理を「これくらい普通だよォ~」と言ってパクパク食べていましたが、露伴と泉はある程度常識がある人間なのでそうはいきません。何か理由付けが必要となります。

 

そこで、

 

カプレーゼ → トニオに毒見させてから食べる

プッタネスカ → 能力で惹きつけられ、食べずにはいられない

子羊とキノコの煮込み → 露伴がトニオの意図を予想したうえで食べる

 

という風に丁寧に納得できる理由が付けられていました。

 

特に最後の改変のおかげで、原作では料理に振り回されっぱなしだったのを、ちゃんと露伴が決める形になっているのが本当にすごい。

手相から体の不調が分かる特技が能力(ギフト)の一部に

トニオさんの、手相を見ただけでその人の体の不調を全て見抜くという特技。これは原作では修行の賜物と取れるように描かれていたのですが、ドラマでは明確に特殊能力とされています。漫画と違いドラマはリアル寄りなので、こうしたのは正解だと思います。

 

そしてもちろん、料理で体の不調を治す方も能力とはされていますが、注目すべきはその取得経緯。これを「元から薬膳料理の研究をしていたが、サソリ毒に侵されて意識を失い、高熱に苦しんだが、目覚めると料理の効果が飛躍的に上がっていた。その後も能力を活かして研究に打ち込んでいる」としていたのが本当に上手い。

 

 

大前提として、まず原作ではトニオさんの能力は「技術がスタンドに昇華した」ように描かれているのですが、いくら何でも、実写で歯が生え変わったりするのを完全に技術由来とするのは無理があります。

 

そもそも実写だと「スタンド」ではなく「ギフト」と呼ばれていますから、一応「天から授かる」形にしなくてはいけません。その上で、トニオさんの努力あってこそ扱える能力であることをしっかり強調している。

だから、トニオさんというキャラクターが持つ魅力、すなわち「人を健康にするために料理の研究に打ち込める尊い精神を持っていること」が全く損なわれていない。

 

サソリ毒に「意識を失う」「高熱」「生還すると能力が身につく」とスタンドの矢的なニュアンスを含ませているのも憎いです。

鮑が手に入らない理由が 漁師が売ってくれない→漁師でも取れない に

鮑が手に入らない理由の変更。漁で生計を立てる職の人間が売らずに独り占めするというのはやや疑問が湧くのでそこの解消でしょうか。

鮑料理ではなく、鮑を大量に食べたタコの料理で腫瘍を治す

まあ地上波に流すドラマですし、密漁を正当化するのはさすがにまずいですよね。「鮑を大量に食べたタコ」としたのは良い落としどころだったとは思います。

 

調べたところ、タコなら区画・期間によっては取っても罪に問われない、そうです。(といってもタコを取るのが禁止されてる区画も多いので、やるならちゃんと調べてから自己責任で)

そして鮑の密漁はダメ絶対。3年以下の懲役、3000万以下の罰金が科せられます。*1

 

 

追記:最初に映った禁漁区の看板には「あわび・さざえ・かき・わかめ・もずく・いわのり」としか書いてなかったのでタコ漁は完全にセーフのようです。(看板が立っているところは厳密にはヒョウガラ列岩ではありませんが、たった今ヒョウガラ列岩に行ったばかりの密漁者がいるのを見るにかなり近いのは明白なので、多分同じ区域)

原作再現

改変点ばかりではなく、再現点についても触れていきます。

味も見ておく露伴

最初のシーンにてカニの味を見ておく露伴先生。「味も見ておこう」のシーンの再現は以前から蜘蛛が映るたびに密かに期待していたんですが、まさかカニで達成されるとは。

台詞回し

屈指の名台詞「密漁をします」「だから気に入った」はもちろんそのまま使われてますが、他のシーンでもセリフへのこだわりが見られます。

 

先ほども書きましたが、前半では億泰の食レポをちゃんと取り入れていました。

 

唯一「そんなもの ウチにはないよ」が無かったのだけちょっと残念でしたが、いきなりタメ口になるのもおかしいから仕方ないかな。

ジェスチャー

露伴が肩こりが治った時のジェスチャーが原作そのまま。これは高橋一生さんもインタビューで言及してました。

肩こりが治ったシーンは、完全に億泰のポーズを再現しています(笑)。

 

高橋一生さんのインタビュー記事*2より

コック帽を被ったまま漁をするトニオさん

原作でも露伴にツッコまれてたところをしっかり再現。

鮑に沈められそうになるところで流れていた歌

露伴が鮑と格闘?するシーンで流れていたおどろおどろしい雰囲気の和風の歌。

能の「阿漕」という演目が元らしく、それは密漁をして罰せられた男にまつわる話らしいです。*3

曲までこだわりがすごい...

注目のラスト

そして、ラストシーン。泉編集が「次の取材はイタリアにしましょう」的なことを言ってました。「岸辺露伴は動かない」で「イタリア」と言ったら....?

 

そう、すべての始まり「懺悔室」のエピソードですよ!じきに映画化第2弾として「懺悔室」のエピソードが公開されるでしょう。

前回の「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」発表の前には、「ジャンケン小僧」のラストで泉編集が「ルーヴル美術館」の名前を挙げてましたから、もう確定です。

 

「懺悔室」って最初に公開されたエピソードだけあって「岸辺露伴は動かない」の題に忠実で、露伴は懺悔室の中で話を聞くだけで、特にこれといった行動にはでません。

だから話を広げるのが難しそうに思えますが、今まで毎回期待を大きく上回る仕事をしてくださったスタッフさんたちですから、確実に良いものに仕上がると思います!

 

安心して続報を心待ちにしましょう!本当に楽しみだ...!

 

 

しかし懺悔室が確定となると、残ってるエピソード(小説を除く)は 「岸辺露伴 グッチへ行く」「望月家のお月見」「月曜日 天気-雨」そして単行本未収録の「ドリッピング画法」だけか。

小説も面白い話多いから、くしゃがら以外もやってほしいけどねー。

 

「背中の正面」「ジャンケン小僧」みたいに本編エピソードから持ってきてるやつもあるから、チンチロリンとかいけんじゃね?みたいにも言われてますね。なんならミラグロマンもいけそう。

 

 

*1:参考:「密漁を許さない ~水産庁の密漁対策~」(水産庁)(2024年5月11日に利用)https://www.jfa.maff.go.jp/j/enoki/mitsuryotaisaku.html 

*2:参考:「「露伴VSアワビ」!?高橋一生露伴愛を語る2024【ドラマ「岸辺露伴は動かない」最新作「密漁海岸」】」(UOMO)(2024年5月11日に利用)https://www.webuomo.jp/culture/interview/LWHTFA/area05/

*3:参考:「阿漕」(the能ドットコム)(2024年5月11日に利用)https://www.the-noh.com/jp/plays/data/program_070.html