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ジョジョ6部(ストーンオーシャン) ラストシーンを完全解説! エンポリオの行った世界はどこ? エンポリオ以外の人間はどうなった? 7部以降の世界との関係についても解説!

 

この記事では「ジョジョの奇妙な冒険」6部ストーンオーシャンのラストの展開について解説しています。

ジョジョの中でも最も理解が困難で解釈が分かれる場面と言っても過言ではないので、順を追って説明していきます。

 

メイド・イン・ヘブンが起こす宇宙の一巡とは?

まず前提として、そもそもメイド・イン・ヘブンの目的とは?という所から話していきましょう。

メイド・イン・ヘブンの能力は「時間を加速させる」ことですが、重要なのはその結果として起こる「宇宙の一巡」です。

©「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」17巻より

「宇宙の一巡」とは、時間を加速し続けることで現在の宇宙が終焉を迎え、新しい宇宙が誕生する現象のこと。*1

 

この新しい宇宙は、前の宇宙とほとんど同じ展開を辿ります。「どんなことが起きるか」は運命的に定まっているからです。

 

また、一巡前の宇宙で生きている者はそのまま新しい宇宙へ移動し、逆に死んだ者は復活せずよく似た生物が新しく作られます。

 

さらに、新しい宇宙に移動した者は、移動中に前の宇宙で起きた全ての出来事を体感し記憶しています

 

その上で、新しい宇宙でも同じ運命が繰り返されるため、彼らは未来に起こることをすべて知っている状態で人生を歩めるということになります。

 

図解

 

この状態こそがプッチ神父の目指した「天国」です。「未来を知っていれば、たとえ悪い出来事が待っていても覚悟して受け入れることができる」と彼は考えました。

 

ジョジョの世界では基本「運命は決まっていて変えられないもの」として描かれています。

そこでプッチは、「運命は変えられない?じゃあみんなが運命をあらかじめ知っておけば無駄にあがかなくて済むから幸せじゃん!」と考えたわけですね。

 

しかし、5部の「眠れる奴隷」のエピソードや「『覚悟』とは!! 暗闇の荒野に!! 進むべき道を切り開くことだッ!」という名言から分かるように、ジョジョでは「運命が分からなくても、自分の行く道が正しいと信じて立ち向かう覚悟を持つこと」が美徳として描かれていますよね。

 

プッチの考えはこれと完全に真逆であり、だから彼こそがジョジョの集大成たる6部のラスボスにふさわしいキャラクターなのです。

この辺を掘り下げていくと彼の魅力に繋がっていくのですが、今回は割愛。

 

ともかく、これで「宇宙の一巡」が何であるかを簡単に理解できたかと思います。

続いて、メイド・イン・ヘブンの能力の穴と、プッチが敗北した理由を解説しましょう。

 

 

メイド・イン・ヘブンの能力の穴

前項で「宇宙の一巡」について解説しましたが、実は、「新しい宇宙が誕生した」時点では、まだ一巡は完全には完了してません

 

一巡を完了させるためには、「新しい宇宙で、前の宇宙で時の加速が始まった時点」まで時を進める必要があります。

「一巡」という言葉通り、時間が一回転して、最初に時を加速させた時間まで戻ってこなくてはいけないのです。

 

先ほど「ジョジョの世界では運命があらかじめ決まっている」と言いましたが、ひとりだけこの原則に従わない者がいます。

 

一巡が完全に完了する前の宇宙では、プッチ神父だけが運命を変えられるようになっているのです。

このような仕様になっている理由は、簡単に言えばプッチの保身のためです。

 

前述した通り、新しい宇宙でも基本的に前の宇宙と同じ出来事が起こります。

 

ここで思い出してほしいのが、エンポリオは宇宙が新しく作り直された際、プッチから逃げ切り、生き延びていたこと。

つまり、新しい宇宙でもプッチはエンポリオを見失う運命にあります。

 

エンポリオが生き残れば、いずれ復讐に来る可能性があります。

これを防ぎたい思いが出たのか、メイド・イン・ヘブンによる宇宙の一巡後には、プッチだけが運命を操作できる期間があります。

 

彼はこの期間を使ってエンポリオを殺し、将来の報復を封じようとしたのです。

 

しかし、この仕様が穴となりました。逆にエンポリオに利用され、プッチは宇宙が完全に一巡する前に死亡します。

「宇宙が完全に一巡する前にプッチが死亡したらどうなるのか」は、彼が死ぬ直前に解説してくれています。

この時の加速が始まったケープ・カナベラル「以前」で............ わたしが死んだら人類の「運命」が変わってしまうぞッ!

 

きっと違う未来になる!ここで死ぬわけにはいかないッ! ケープ・カナベラルの後ならいくらでも命を捧げようッ!!

 

わたしがここまでやって来た事が起こらないという事に変わってしまうんだッ!

人々は時の旅で見た運命を見なくなる! 覚悟を知る事がなくなるんだッ!

 

 

『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』17巻 エンリコ・プッチのセリフ

こうして、プッチの死亡により、「新しい宇宙の誕生」は無かったことになり、彼の思い描いた天国は実現されることはありませんでした。

 

もう、誰も未来を知ることはありません。

そして、エンポリオはまた違う宇宙に移動します。

 

さて、ここからが一番意見が分かれる所です。

 

「プッチが死亡したことでエンポリオが行った世界」は一体何なのでしょうか。

 

これは、公式には明確な答えが出されていないためファンによって解釈が異なりますが、物語に散りばめられた描写である程度予想は立てられます。今回は私が最も有力と思う解釈を紹介しましょう。

 

 

プッチが死亡したあとの展開について

結論としては、

 

  1. プッチが死亡したことにより、プッチの作った『天国になるはずだった世界』は消滅し、
  2. 代わりに『ジョースター家がDIOとの因縁から解放された新しい世界』が誕生
  3. 一巡で生まれ変わった者は消滅して別個体が生まれ、オリジナルの世界で生き残っていた者はすべてその新しい世界に移動した

というものです。

 

図解するとこうなります。

これまたややこしいので、順を追って説明していきましょう。

①「1回目と2回目の宇宙と生物が作り変わった理由の違い」

まず前提として、少しこんがらがる部分を解説。「最初に宇宙と生物が作り変わった理由」と「2回目に宇宙と生物が作り変わった理由」は少し異なります。

 

最初に宇宙が作り変わった理由は「時の加速によって宇宙が消滅し、新しい宇宙が誕生した(一巡)」ことにあります。

 

生物が作り変わった理由は「一巡によって新しく誕生した宇宙でも、前の宇宙と同じような運命をたどるので同じような生物がいるはずだが、死んだ者は蘇れないので新しい生物が作られた」ということです。

 

そして、2回目に宇宙が作り変わった理由は「プッチが死んで一巡自体無かったことになったから」です。

これにより、一巡の影響で生まれた生物たち(図で言うと黄色の人物(中下))は当然消滅します。

 

「一巡が無かったことになったのなら、元の宇宙に戻るのではないか」と思う方もいるかもしれません。

しかし、プッチの発言を思い出してください。彼は、「自分が死んだら運命が変わる」と言っていました。

この運命の変化により、元の宇宙に戻ることはなく、パラレルワールドが誕生する結果となったのです。

 

そして、死んだ人間が元の姿に戻らず、別人になった理由も同様です。一巡が無かったことになったとはいえ、死んだ者は蘇れません。

だから、「運命が変わったパラレルワールドの住人として新しく作られた」結果、別人となったのです。

 

作り変わった理由の違いが理解できたでしょうか。

次の項では、エンポリオが最後にたどりついたパラレルワールドがどんな世界かを解説していきます。

②「新しく誕生したのはどんな世界?」

エンポリオが最後にたどりついた世界には、少なくともプッチは存在しません。

そもそもこの世界は「プッチが死亡したことで運命が変わり誕生した世界」、つまり「プッチのいない世界」ですし、作中描写からも分かることです。

 

・例

  • 徐倫が刑務所に入っていない → 徐倫が収監されたのはプッチが裏で糸を引いたのが原因だから
  • FFがいない → FFはプッチが誕生させた生物だから
  • ウェザーらしき人物が雨に打たれている(天候を操作する能力を持っていない) → ウェザーが能力を得たのはプッチがスタンドの矢に射抜かれたのが原因だから

 

さらに、徐倫が捕まった理由には、プッチだけでなく、DIOを殺した承太郎に復讐心を抱いていたジョンガリ・Aが協力していたこともあります。

 

つまり、プッチがいない世界でも、DIOとの因縁が残っていたならば、承太郎に恨みを持つ元DIOの手下に狙われて徐倫が捕まる可能性は十分にあります。

 

実際は、新しい世界で彼女は捕まっていませんから、DIOとの因縁は完全に消えたと考えて良いでしょう。

 

何より、ジョジョ1~6部で「ジョースター家とDIOの因縁」がずっと描かれてきたことを考えると、「ジョースター家がDIOとの因縁から解放される」ことこそがジョジョ全体におけるハッピーエンドであり、6部ラストでDIOとの因縁が消えるのは自然な結末です。

 

思えば、ジョースター家は100年以上にわたってDIOとの因縁に苦しめられてきました。

ジョナサンはもちろん、承太郎も徐倫も命を落としてしまいました。

 

しかし、新しい宇宙が作り直されることで、ようやくその呪縛から解放されたのです。

 

ただし、ジョジョの世界では一度死んだ者が蘇ることはありませんから、因縁から解放された人生を歩むのは、新たに誕生した彼らによく似た別人たちです。

 

それでも、「DIOの因縁から解放されたジョースター家」は確かにこの新しい世界に存在し、前の世界の彼らの精神を継いだエンポリオもいる。

完全なハッピーエンドとは言えないかもしれませんが、ビターエンドと捉えることはできるでしょう。

 

 

③「新しい世界に行けたのはエンポリオだけ?それとも生き残った者全員?」

ここまでで、「プッチが死亡したことにより、ジョースター家がDIOとの因縁から解放された新しい世界が誕生し、一巡で生まれ変わった者は消滅して別個体が生まれた」というところまでは理解いただけたかと思います。

 

ここからは、「オリジナルの世界で生き残っていた者はすべてその新しい世界に移動した」というところを説明していきましょう。

 

ここの解釈に関しては、ファンの中でも派閥があります。

新しい世界にそのままの姿で移動できたのはエンポリオだけ」という説と、「生き残った者全員が新しい世界に移動した」という説の二つの解釈が存在しているのです。

私は後者の説を推しています。

 

理由はいくつかありますが、最もこの説を裏付けているのが、プッチが死亡して新しい宇宙が誕生した時に、アリが宇宙を漂って地面に降り立つ(新しい世界に到着する)描写があることです。

 

この描写とあわせて見てもらいたいのが、「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」17巻「メイド・イン・ヘブン その⑨」の扉絵にあるこの文言。

新しい歴史は誕生したが 宇宙を旅して来た生命たちの地球到着を 運命の中にあらかじめ組み込んである歴史のはずだ

 

――つまり同時に同じ人間は2人いないし 住んでいた時と同じような場所に到着する

 

たとえ蟻一匹でさえ 運命の中に組み込まれて 新しい世界に到着する

 

 

『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』17巻 「メイド・イン・ヘブン その⑨」扉絵

この解説では、「アリでさえ新しい世界に到着する」ことが「すべての生物が新しい世界に到着する」ことの象徴として書かれています。

 

この前提に基づけば、ラストシーンでアリが新しい世界に到着した描写は「生き残った全員が新しい世界に行った」、つまり「エンポリオ以外も生き残った者は新しい世界に移動した」と解釈できるのです。

 

しかも、このアリの描写は連載時にはなく、単行本化に際して加筆されたものです。

荒木先生が単行本で加筆されることは非常に珍しいため、このシーンには読者への重要なメッセージが込められていると考えられます。

 

以上のような理由から、私は「オリジナルの世界で生き残っていた者は全員、新しい世界に移動した」と解釈しています。

 

 

7部以降の世界について

最後に、ジョジョ6部ラストの世界と7部以降の世界の関係について解説します。

7部以降の世界は、6部までの世界のパラレルワールドですが、「6部のラストで生まれた世界」=「7部以降の世界」なのか、それとも関係ないのか?

 

これに関しては「週刊少年ジャンプ増刊 青マルジャンプ」にて、荒木先生から言及がありました。

――待望の新連載『SBR(スティール・ボール・ラン)』ですが、これは『ジョジョの奇妙な冒険』第7部ではないんですよね?

 

荒木 『ジョジョ』第6部を読んでいた人ならわかると思うけど、世界が一周しちゃって次の新しい世界に入って、そこが舞台になってるんです。でも『ジョジョ』のパラレルワールドを描くのがテーマじゃないんですよ。物語の大前提っていうだけで、それはストーリーとは関係がないんです。

 

『週刊少年ジャンプ増刊 青マルジャンプ』 荒木飛呂彦 ロングインタビュー

このインタビューによると、「6部のラストで生まれた世界」=「7部以降の世界」という解釈が正しいように思えますね。

 

しかし一方で、先生はこのような説明もされています。

このSBRは、実質的に『ジョジョの奇妙な冒険』のPART 7として描かれているものですが、初めてここから読み始める読者の為に、あえてそのことを強調したくないと考えました

しかし、一方で、漫画家の創作に対する姿勢の問題として、過去の作品を完全に葬り去ってまったく新しい作品を描こうというのは、良くない態度だとも思ったのです。作品のテーマというのは、過去から連続していなくてはならないのです

 

季節がうつり変わるように、あるいは人が人生を歩むように、作品のテーマというものも過去からの延長線上になければと思うのです。断ち切ることは、してはいけないと考えます

SBRには「ジョジョの奇妙な冒険」に登場したキャラクターに似た名前の人物が出て来ますが、彼らの先祖と考えるかあるいは、パラレル・ワールドと考えてください。

テーマは同じ人間讃歌。人生という奇妙なレースを登場人物たちはどう突き進むのか!?

 

『スティール・ボール・ラン』1・2巻 荒木先生の巻頭コメント

このコメントから読み取れるのは、荒木先生が7部以降をパラレルワールドにした理由が、「6部ラストの続きを描くため」ではなく、「新しい世界観のジョジョを描きつつも、これまでのシリーズとの繋がりを完全には断ち切りたくなかったから」だということです。

 

そのため、「6部のラストで生まれた世界」=「7部以降の世界」と説明されたことはあるものの、6部ラストの世界を7部以降の世界と直接結びつけて考える必要はないと思います。

 

シンプルに「世界観が一新されたジョジョ」として楽しむのが良いです。

 

先ほど紹介した青マルジャンプのインタビューは、このようなお言葉で締めくくられています。

――それでは最後に、『SBR』ファンへのメッセージをお願いします。

 

荒木 古くからの読者には、深読みはしないでほしいって思います。新しい世界観に突入しているんだし、純粋に「今回から始まる物語」として読んでほしい。でもテーマは変わっていなくて「人間讃歌」や「運命の悲しさ」で、「SBR」でもそこを追及していきたいですね。

 

『週刊少年ジャンプ増刊 青マルジャンプ』 荒木飛呂彦 ロングインタビュー

 

 

*1:新しい宇宙で「前の宇宙で時の加速が始まった時間」まで時を進めないと完全な一巡ではないが、説明の簡略化のため一旦省略